妻子がいないと相続人の範囲を確定するのは結構難しい!
ここで、こんなケースを考えてみます。
・お子さんがいない
・夫はすでに他界
・今回、一人暮らししていた妻が亡くなった
この場合、妻の両親が健在なら両親が相続人ですので、相続人はは両親となり、わかりやすいです。
しかし、両親が他界していれば「きょうだい」が、相続人になります。
そして、そのきょうだいが他界している場合、きょうだいの子どもたちが、相続人となるのです。
亡くなった方から見るとおい、めいですね。
これ、結構盲点です!
きょうだいが亡くなっているからそれでおしまい、ではなく、その子どもまで権利が行くのです。つまり、付き合いの希薄ないとこ同士で遺産分割協議しないといけなくなってしまうことも多いのです。人によっては海外にいたりするかもしれません。
おい、めいたちにとっても、亡くなった叔母の相続人として、さまざまな手続きを行い、相続することになりますので疎遠だったりすると結構大変です。
このようなときは遺言が有効です。行政書士などの専門家に相談するとスムーズですね。
同棲は不利になりがちなので対策を!
ところで、結婚していない場合の「内縁の妻」ですが、民法の規定により、結婚していない夫婦の場合には一切の相続分がありません。ここは注意が必要です。法定相続するのに婚姻はマストです。
それでは、内縁の妻に財産を引き継がさたい場合はどうするのか?答えは遺言書をちゃんと書くことです。遺言書さえあれば内縁の妻に財産を引き継いでもらうことが可能になります。
こういった遺言は公正証書にしておくと安心で確実ですね。
相続人全員の合意があっても、相続人でない人は遺産を相続することができませんので、内縁の妻や(子供がいる場合の)孫を相続人にすることはできません。もし、そのようにしたい場合は存命中の遺言書が必須不可欠になってくるわけです。
遺産の分け方-法定相続分で分ける必要はある?
遺産の分け方について「法定相続分」というものが民法で定められています。法律に明記されているので必ずこの通りに分けると考える人がいますがそれば間違いです。
これはあくまで民法に記載がある「目安」ですので、必ずしもその通りに分けなくても大丈夫なのです。つまり、法定相続分には強制力はありません。
知らない方が多いのですが、相続人全員の同意さえあれば、どのように分けても大丈夫です。
例えば、父・母・娘・息子の4人がいて、父が亡くなった場合、母50%、娘25%、息子25%が法定相続割合に従った場合の相続分です。
それを、母34%、娘33%、息子33%にしてもよいし、母100%、娘0%、息子0%でもよいわけです。
なお、「相続税」の税額は仮に法定相続分で分けた場合で算出しますが、法定相続分で分けない場合には、もらった分の割合に応じて相続税を負担することとなります。
法定相続人“以外”に財産を残したい場合-事前準備が不可欠
相続人と決まっているひと“以外”に財産を引き継がせたい場合、ありますよね。死後だと、相続人以外は遺産を引き継ぐことができませんので、相続人の誰かが相続してその人から贈与するしかなくなってしまいます。
つまり(金額次第ですが)相続税がかかった上に贈与税までかかってしまうことになります。
ですので、死後、法定相続人ではない誰かに財産を譲りたい場合は以下のような事前準備が必要です。
- 生きているうちに贈与する(生前贈与)
生前贈与とは、生きているときに財産を無償であげることです。生前贈与は相続人でない人に対して行うことも可能です。 - 遺言書を作成する
遺言書で、「自分が死んだら○○を○○にあげる」と明記することが可能です。 - 生命保険に入り、その人を受取人にする
生前に生命保険に入っておき、財産を引き継がせたい人を受取人に指定しておけば、金銭を贈与することが可能になります。ただし、税金には気をつけましょう。
遺言書を書く上で「遺留分」は必須チェック項目
生前に書く遺言書では、自分の財産の分け方を自由に決めることができます。ですが、遺言によっても「遺留分の侵害」はできないことになっています。遺留分とは一体何なのでしょうか?
遺留分とはなんでしょうか?
遺留分(いりゅうぶん)とは、亡くなった方の身近な家族の今後の生活を保障するために最低限の割合を引き継ぐ権利ぶんを指します。
つまり、最低の取り分(権利)です。
この権利は遺言でも侵すことができません。
遺留分の割合は決まっており「法定相続分の50%」です。妻+子供が相続するときの妻の場合、法定相続分が1/2ですのでその半分の1/4が遺留分、つまり最低限確保できる割合です。
遺留分があるのは、「配偶者」と「子供」「両親」です。兄弟姉妹には遺留分はありません。兄弟の生計を支えているケースがほとんどないからですね。
遺留分の主張とは?
父・母・娘・息子の4人がいて、「全財産を妻に相続させる」という遺言を書いても、各子どもは1/8ずつの遺留分を持つので、財産の1/8を引き継ぐことを主張できるのです。これを遺留分の減殺請求といいます。
ですから、遺言を作成する場合には、遺留分を持つ推定相続人の取り分を最低でも遺留分相当とするように配慮することがトラブルを避けるために必要になるわけです。
なお、別の項目で「遺言がある場合は遺言通りに分けます。」と書きました。遺言がある場合、遺産は遺言にある通りの分割がなされます。
一方で、遺留分の侵害があった場合、つまり遺留分の配慮がない遺言を残した場合はどうなるのでしょうか?
この場合、まずは遺言通りに遺産を分割します。例えば妻に全財産が渡ります。
そのうえで、遺留分を侵害された子供が母に請求すると、遺留分相当の「現金」を子供に支払わないといけないことになります。
侵害された遺留分は「相続したもの」ではなく「現金」で返さないといけないことも知っておきましょう(最近の改正箇所です。図書館にある相続の本でも古いものには載っていません!)
まとめ
このように相続にはさまざまなルールがあり、、さまざまな解決法があり、円満な相続には様々な知識を要します。
相続について考え始めたら、多くの関連書籍がありますので、いくつか読んでみてベストなやり方を考えてみましょう。
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自分一人では考えきれないときは、相続を得意とするファイナンシャルプランナーや行政書士、司法書士に。相続税の心配は税理士に。相続の争いには弁護士に相談することができます。

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