これまでの資産形成や家計の仕組み化、ライフプランの設計を経て、いよいよ「会社を辞めて、自分の人生の主導権を握る」というゴールの手前までたどり着いた方に向けた連載記事です。
【FIRE前チェックリスト】!
会社に「辞めます」と伝えるその前に、絶対に確認しておくべきポイントを4つのフェーズに分けて網羅していきます。
- 【今回】第1弾:退職意向を伝える前編
- 第2弾:退職意向を会社に伝える編
- 第3弾:退職が目の前に迫ったら編
- 第4弾:退職したら編
会社に退職の意向を一度伝えてしまうと、もう後戻りはできません。特に真面目で優秀な方ほど、引き止めに合ったり、感情的な揺らぎが生まれたりするものです。まずは、誰にも何も言っていない「今」だからこそ、冷静に確認できるチェックリストを上から順にクリアしていきましょう!
📄 FIRE前チェックリスト:退職意向を伝える前編
このフェーズの目的は、「本当に会社を辞めても、お金とメンタルの両面で『絶対に』大丈夫と言い切れるか?」の最終防衛ラインを確認することです。
🟩 チェック1:家族の合意は取れているか?
大黒柱のFIREは家族にとって大きな生活の変化です。家族の合意をしっかりとりましょう。
- [ ] 夫婦の合意ができている
- [ ] お子さん(小学校高学年以上)にも、それとなくFIREもしくはジョブチェンジの話をした。
- [ ] 親族や周囲の人にFIREについてどう伝えるのかの作戦が決まっている
【FP匠のアドバイス】 FIREという家族のビッグライフイベントについて、家族で合意をしましょう。FIRE後、家に居場所がなくなったら大変です。お子さんにどう伝えるかは家庭の方針もあると思いますが、我が家はFIREするとはっきり伝えています。最初は収入がなくなるのは嫌だ!と大騒ぎして泣いていましたが、現在は受け入れてくれています(11歳の長男には、アパートの運用状況等、普段から見せています)。
また、親族や友人、周囲の人にどう伝えるのかは決めておいたほうがよいと考えています。例えば、自営業に転向した、個人事業主をやっている、等、当たり障りない伝え方もいろいろあると思います。
🟩 チェック2:生活防衛資金は「投資資産とは別」に確保されているか?
FIRE後の生活費を「投資の配当金」や「不動産の賃料収入」だけで賄う計画であっても、それとは別に「生活防衛資金(せいかつぼうえいしきん)」が必要です。
生活防衛資金とは? 万が一、大不況で株価が暴落して配当が減ったり、所有している不動産に空室が出たりして、毎月の収入が一時的に途絶えても、生活を維持するための「手元の現金」のことです。
- [ ] 最低でも「1年〜2年分」の生活費が、すぐに引き出せる普通預金(現金)口座にある。
- [ ] この現金は、投資に回しているお金や、FIREのベースになる資産とは完全に「別枠」で隔離されている。
【FP匠のアドバイス】 サラリーマン時代は毎月決まった給料が入るため、手元の現金が少なくても回りますが、独立・リタイア後は「現金の厚み」がそのまま「心の余裕」に直結します。暴落相場が来ても1年、2年たてば回復の兆しが見えてくるもの。そこで「2年は資産を取り崩さずに生きていける」という安心感を作っておきましょう。なお、私の場合は「毎月入ってくる定期収入がある(賃料収入)」というプラスポイントがありました。何か収益が定期的に発生する場合は織り込みましょう。
🟩 チェック3:FIRE後の家計の「固定費」は仕組み化できているか?
以前の記事でお話しした「家計の自動仕組み化」が、すでに完璧に稼働しているかを確認します。
- [ ] 「何もしなくても、どこにいくらお金が流れているか」が家計簿アプリ等で一元管理されている。
- [ ] 固定費の無駄がない家計が実現できている
- [ ] 退職後の健康保険料や国民年金、住民税といった「会社員じゃなくなると自分で払う税金・社会保険料(※1)」の概算を把握している。
⚠️ ※1 会社員を辞めた後の税金の罠 会社員を辞めた「翌年」は、サラリーマン時代の高い年収をベースに計算された住民税や国民健康保険料・国民年金の請求が届きます。これが驚くほど高額になるケースが多いので、退職初年度の税金分はあらかじめ現金で確保しておく必要があります。また、退職年も、毎月給与から控除してくれていた「住民税」は自分で納めることになるため、考慮が必要です。
【FP匠のアドバイス】 固定費はFIRE後もすっと続いていく出費です。最適化はしっかり行いましょう。また、住民税支払いや社会保険料(健康保険+年金)の支払いもめどをつけておきましょう。
🟩 チェック4:会社員の「信用」を使った手続きは全て終えたか?
日本の社会において、「サラリーマン(特に勤続年数が長い人)」の社会的信用は絶大です。一度会社を辞めてしまうと、いくら資産が数千万円、数億円あっても、しばらくは「無職」または「実績のない個人事業主」として扱われてしまいます。
- [ ] 住宅ローンの実行借り換え等は済ませたか?
- [ ] 今後使う可能性があるクレジットカードの発行は済ませたか?
- [ ] 引っ越しや、新たな不動産融資(ローン)の融資実行などは完了しているか?
【FP匠のアドバイス】 特に独立して自分で事業を始めたい、あるいは不動産投資をさらに拡大したいと考えている方は、会社員の肩書きがあるうちに「引ける限りのレバレッジ(融資)」やカードの用意を終えておくのが鉄則です。辞めた翌日からは、全く無理、ではないものの、驚くほどカードの審査が通りにくくなります。
🟩 チェック5:退職後の「時間のポートフォリオ」は描けているか?
「仕事が好きすぎる人」の回でもお話ししましたが、お金の準備よりも大切なのが「退職した後の毎日、何をして過ごすか」の設計です。
- [ ] 朝起きてから夜寝るまでのスケジュールが、退職後も退屈で狂ってしまわない自信がある。
- [ ] 会社関係「以外」の友人、あるいは所属するコミュニティが1つ以上ある。
- [ ] 名刺がなくなっても、「これが自分の新しい活動だ」と言えるスモールビジネスや趣味の準備ができている。
【FP匠のアドバイス】 「会社が嫌だから辞める」という逃げの姿勢だけだと、辞めた瞬間に強烈な虚無感に襲われます。「辞めて、あのアクティビティに時間を使いたい!」「自分のスモールビジネスを本格化させたい!」という、次のステップへのワクワク感がエネルギーとして満ちているか、胸に手を当てて確認してみてください。
まとめ:全てにチェックがついたら、いよいよ「Xデー」の準備へ
いかがでしたでしょうか? この「伝える前編」のチェックリストがすべて、もしくはほとんど埋まったなら、あなたのお金と心の準備はトップクラスに万全な状態と言えます。自信を持って次のステップへ進みましょう!
次回は、「第2弾:退職意向を会社に伝える編」をお届けします。 上司への切り出し方、引き止めに負けないマインドセット、そして円満に、かつ自分の希望通りの時期に辞めるための具体的な交渉術について、私の経験も交えてお話ししますね。
まずはこのリストを見ながら、手元の口座や今後のスケジュールを静かに確認してみてください。あなたの新しい人生の幕開けは、もうすぐそこです!


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