尊厳死の宣言。公正証書で不治の病に備える

ライフプラン

尊厳死(そんげんし)ってなに?

尊厳死という選択が選ばれるようになってきました。過度な延命を拒否し、緩和ケアを望むという意思表示が広まってきています。

一方で、尊厳死を患者が希望したから必ずその希望がかなうわけではありません。

なぜなら、医療の現場において、患者の治療をやめることは、医療関係者にとっては犯罪となってしまうリスクがあるからです。

というのも、日本において、現在安楽死は合法化されておらず、たとえ患者本人の要望に基づいていても患者を殺害したり、自殺を援助したりする行為は「自殺関与・同意殺人罪」に該当し、犯罪となる恐れがあるのだそうです。 つまり、医師にとってはハイリスクなのです。

※安楽死=患者を殺害する行為 尊厳死=延命措置としての治療を中止する行為 

患者の意思を証明する方法が「公正証書」

そこで、患者の意思で尊厳死を積極的に選択したことを明確に表す書面である「公正証書」が広まってきました。

回復の見込みがない末期状態になったとき、人間としての尊厳を保ち、自然な形で安らかな死を迎えるために、延命措置の中止や緩和措置の実施などを希望する意思表示を公証人の前で宣言し、公正証書にしたものです。

公正証書にすることで、本人の意思で明確に尊厳死を公証人の面前で希望したことが証明されます。これにより延命治療の中止や苦痛緩和措置を最優先してもらうための重要な証拠となり、多くの医療現場で尊重される傾向にあるようです。

ただし、この方法は、法的に定められたものでは無いため、100%必ず実現するわけではありません。医療現場で必ずそれに従わなければならない強制力は無く、医師やその時の病状によっては、 公正証書があったとしても可能な限りの延命治療を行うこともあり得るからです。

尊厳死宣言公正証書とは

尊厳死宣言公正証書は、不治の病で死期が迫っている際に、本人の意思に基づき過剰な延命措置を差し控え、自然な死を迎えることを希望する意思を、公証人が確認し作成する公正証書です。

宣言者本人が、自身の意思能力がはっきりしているうちに、公証人の面前で意思を表明し、公証人が作成・原本保管します。

公正な第三者である公証人が作成するため、本人の意思が客観的に証明でき、延命治療を望まない意思の説明の容易化につながるほか、家族の負担軽減や争いの回避にもつながります。

公正証書作成手続きの流れ

  1. 公証役場への連絡と予約
    公証役場へ電話し、打ち合わせ日時を予約します。最近はメールでも受付できるようになってきました。
  2. 本人確認書類と実印の準備
    宣言者本人の印鑑登録証明書や運転免許証、マイナンバーカードなどの身分証明書と実印を用意します。
  3. 公証人との面談・打合せ
    公証人と面談し、尊厳死に関する具体的な希望(延命措置の拒否、苦痛緩和措置の希望など)を伝えます。
  4. 公正証書の作成・署名・押印
    打ち合わせ内容に基づき作成された証書案を確認し、公証人の確認のもと、宣言者本人が署名・押印して手続きを完了します。
  5. 謄本の受け取り
    作成された公正証書の正本は公証役場で保管され、家族や医師に提示するための謄本を受け取ります。

まとめ

延命治療を拒否したいときは、尊厳死宣言という選択肢と公正証書という確実性をアップさせる方策があることが分かりました。一方で尊厳死宣言は、家族の理解と協力が不可欠です。事前に家族の同意を得ておくことが重要です。日ごろから、自分の意思を家族に繰り返し伝えていくようにしましょう。

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