尊厳死(そんげんし)ってなに?
尊厳死(そんげんし)とは、回復の見込みがない末期状態の患者が、延命治療を拒否し、自然な経過で死を迎えることです。
本人の意思で、家族や医療関係者の合意のもと、人としての尊厳を保ちながら最期を迎えることを目指します。
日本で「安楽死」は違法(殺人)として認められていませんが、尊厳死は厚生労働省のガイドラインなどにより事実上容認されるようになってきました。
ここでは尊厳死とはどういうことなのか、解説していきます。
尊厳死のポイント
■患者本人の意思に基づくことが必要
→回復の見込みがない末期状態で、本人の意思によって延命治療の中止・差し控えを決定します。
■自然な死を待つ
→過剰な延命措置を行わず、自然な死の流れに任せることを意味します。
■尊厳を保つ
→身体の自由や意思疎通が困難な状態でも、人として尊厳を保ったまま最期を迎えたいという考えが根底にあります。
■安楽死との違い
→安楽死:医師が患者の死期を積極的に早める行為であり、日本では刑法で禁じられています。
尊厳死:延命治療を拒否することに重点があり、患者の意思に基づいて行われる点で安楽死とは異なります。
■日本での状況
→2007年に厚生労働省が発表した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」で、延命治療の不開始・中止が事実上認められたといわれています。
■法的な位置づけではない
→法律で明確に定められているわけではないため、医療現場では医師の判断に委ねられる部分が大きく、医師にとっては法的リスクもゼロではありません。
■リビング・ウィルの活用
本人の意思を明確に伝えるためのリビング・ウィル(尊厳死宣言書)が活用されるようになってきていますが、法的な強制力はありません。
まとめ
尊厳死を考える際には、まず家族と話し合い、自分の意思をしっかり伝えておくことが最も重要です。自身の意思を家族に伝え、延命治療中止の最終的な申し入れを行うことになる家族の精神的負担も考慮して、合意を得ることが必要です。
また、尊厳死宣言の公正証書という方法で、健康な精神状態のときに尊厳死を希望する宣言をした旨を証明することもできますので一考の価値があるかもしれません。

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